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粘膜人間

著者:飴村行

税込価格 :704円

ISBN:9784043913015

発売日:2008年10月25日

夏におススメのホラー小説

40過ぎたら小説が読めなくなった。
ノンフィクションやルポはいいが、小説や漫画などのフィクションが一切読めない。どんなに面白くて続きが気になっても、何か納得した気分になって、放り出してしまうのである。本屋としていかがなものかと思い、いろいろ手にとってみたが、状況は改善されない。
そんな中で、わたしが唯一完読することができた小説が、本書『粘膜人間』である。

主人公である少年は、身長190cm、体重100kgオーバーの異形の弟(でも小学生)の圧倒的暴力に手を焼いていた。暴虐はついに父親の虐殺にいたり、自らの生命の危機を感じた少年は、村はずれの沼に棲む河童・モモ太とジッ太に弟殺しを依頼するが、所詮は下等妖怪、事態は思わぬ方向へ・・・とあらすじを書いていると、ねえ大丈夫?とあらぬ心配をかけてしまいそうなので、ここではこれ以上の詳細には触れまい。
だがアミーゴ、安心してほしい。しばらくはページをめくる度に、にちゃああと糸を引きそうな感覚すら覚えるグロさ、そして暴力につぐ暴力のつるべ打ちがきわめて不快な小説だが、読みすすめる程に、嫌悪は快感へ転じ、戦慄と爆笑を行ったり来たりする、極上のエンターテイメント作に仕上がっている。決して万人におすすめすることはできないが、ページをめくる手を止めさせないサムシングがある小説である。

薬とは、毒を薄めたものである。ふだんはジブリ映画とかディズニーなどのファンシー系を好む私にとって、ショック療法のような効果があったのだろう、これ以降、ぽつぽつと小説を読めるようになった。本書は私に小説を読むよろこびを思い出させてくれた小説である。ありがとう、いい薬です。

(志木店 スタッフ)

 

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