おすすめ書籍

友がみな我よりえらく見える日は

著者:上原隆

税込価格 :545円

ISBN:9784877288136

発売日:1999年12月

今週のおすすめ本

上原隆のノンフィクション・コラムを読むと、心の中に小さな灯がともる。
ひと吹きで消えてしまいそうなかぼそい炎は、がらんどうの心の中に一筋の煙を残してすぐに消え、あたりはいつもの暗やみに包まれる。
が、真っ暗ななかで、あなたは読む前とはほんの少しだけ違った自分を見つけることになるだろう。

ぼくのような、常に疎外感をもち、どこにいってもCDシングルの二曲目に収録されているカラオケ・バージョンのような扱いを受ける人間にとって、上原隆の本は、読んで面白かったとか、ぐっときた、ということはさして重要ではない。切実に必要な、生きていくうえでの処方薬である。
ふつうの人びとが持つ悲しみや寂しさ、やさしさの欠片を積み重ねた一連の著作には、間違いなく、人生の、世界の秘密があり、本作でもその一端をチラ見することができる。

きょうもぼくは、祈るような気持ちで、眠る前に本書をひらく。
広末のろうそくに火を灯そうとするキャンドル・ジュンのように、そっと丁寧に、とても注意深く。
お気に入りのエピソードをニ、三読んで、満足気にうなづき、眠りに落ちる。
これで明日からもがんばれそうだ。

どこにいてもアウェイ感が拭えない、日本中のエトランゼに贈る、人生のともしび。
おすすめです。

(船橋店 スタッフ)

 

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