おすすめ書籍

宇宙・0・無限大

著者:谷口義明

税込価格 :902円

ISBN:9784334046682

発売日:2023年6月

今週のおすすめ本

算数が苦手すぎて、日常生活がむずかしい。
どのくらいかというと、アナログ時計を見ながら指折り数えないと時間の計算ができない程度に苦手である。
「もしかして」とあなたは思うかもしれない、「それは小学低学年レベルなのでは?」と。
きっとそうなんだろう。先日、わり算のやり方を忘れてしまっていたのには、自分でもあきれた。

その程度のわたしでも、理数系の本を読むのは割と好きである。
なかでも、宇宙についての本は、深淵に飲み込まれてどこまでも落ちていくような感覚が楽しく、寝しなに読むことが多い。本書もその流れで手にとったのだが、宇宙についてよりも、ゼロ/無限大に書かれたパートのほうがおもしろかった。
「ゼロ」の歴史、受容の東西のちがいなど文化的な側面や、ゼロをゼロで割るとどうなるか?などの数理など、興味は尽きないのだが、やはり「ゼロと無限は双子」というフレーズにしびれた。基礎教養などなくとも――入社試験の数学はいさぎよく全問空欄で提出したサル同然のわたしでも――十分に楽しめる内容だった。
買い物のときにお釣りをぴったりもらう計算がどうしてもできず、最近は豪快に紙幣をカウンターに叩きつけるようにして支払い、常にポケットを小銭でじゃらじゃら言わしているわたしがいうのだからまちがいはない。わからない数式は読み飛ばせばよい。

つづいて、本書に多く引用されている『異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念』も読んでみたが、数・哲・神学を横断して、ゼロについて語り倒した数学エッセイで、こちらもおもしろかった。ともに、数学への興味がめばえたきっかけになった、よい本である。
これを機に、せめて自分の店の番線くらいは覚えたい。

(船橋店 スタッフ)

 

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