「くまくん、ことりはもうかえってこないんだ。つらいだろうけど、わすれなくちゃ」ある日突然、最愛の友だちであることりを亡くしてしまったくま。くまは手作りの箱に花びらを敷き詰めことりをしまい、毎日持ち歩くようになります。箱の中を見るたび困った顔をする動物達は決まってそう言うのです。ふさぎ込んでしまったくまを待ち受けていたのは、1匹のやまねことの出会いでした。自分にとって大切な人の「死」というとても重いテーマではありますが、気持ちとは関係なく流れ始める時間の中で少しずつ受け入れていくこと、心に空いた穴をどうしていくのか、とても丁寧に尊く書かれています。くまの心を表すように酒井駒子さんの優しく繊細なイラストが段々と色づいていくさまもとても印象的です。誰しもが必ず経験するであろう大切な人との永遠の別れ…この絵本を読むとそのどうしようもなく辛く悲しい感情を思い出すとともに、時間をかけて様々な出会いの中でその感情と向き合いながら進んでいくことの大切さに気づかされます。お子様は勿論、大人の方にも読んで欲しい絵本です。

(イオンモール浦和美園店　スタッフ)