表紙には、絶望の涙を流して壁にもたれかかる高貴な美女の絵が。政権争いに翻弄されて囚人となり、監獄が洪水に遭って、今まさに沈もうとしているその瞬間を描いた「皇女タラカノーヴァ」の歴史画です。
「残酷な王と悲しみの王妃」など著書多数、「怖い絵」展で特別監修を務めて大人気を博している中野京子。数々の歴史画がカラーで楽しめる「名画で読み解くシリーズ」の中でも、もっとも衝撃的な終わり方をしたロシアのロマノフ王朝の物語です。北方の田舎の二流国家からのしあがり、ピョートル大帝や女帝エカテリーナの手によって超大国へと成長し、最後の皇帝ニコライ2世が革命に遭い、一斉射撃で家族もろとも銃殺されて終わるまでの300年間を巡ります。
弟が姉を、夫が妻を幽閉し、父が息子を、妻が夫を殺してきた歴史を持つロマノフ王朝。江戸から明治期の日本との関わりも光ります。陰惨でドラマティックな歴史を美しい名画でどうぞ。

(イオンモール奈良登美ケ丘店　文庫・新書担当)

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