ダンスと聞いてどんなものを思い浮かべるだろうか。競技として有名な社交ダンスはもちろん、歌番組でアイドル達が踊っているダンスや、日本古来のお祭りで踊られるよさこいや盆踊りもダンスの一つだ。本作はそんな中でもストリートダンスに焦点を当てた作品になる。
主人公の小谷 花木(こたに かぼく)は長身で恵まれた体躯ながら、吃音症のため人付き合いを限る傾向があった。そんな彼がダンスと出会い、自己表現の幅を広げていくと同時に、自身のパーソナリティである吃音との付き合い方も徐々に変化していく。作者の珈琲先生自身が「吃音症のダンス経験者」であるため、主人公のキャラクター造形は深く、リアリティを感じる。
また、ダンスに必須とも言える音楽だが、本作のダンスシーンでは、作品内でかかっている曲のタイトルとアーティストが必ず紹介されている。ダンスに触れたことが無い方でも、動画配信サイトなどで検索していただければ、登場人物たちの多彩なダンスをリアルにイメージしてお楽しみ頂けるだろう。ダンスシーンを描く際の、著者の独特な筆致にも是非ご注目頂きたい。
紹介させていただく2023年2月末時点で既刊は10巻、月刊アフタヌーン誌上にて絶賛連載中だ。これからまだまだ面白くなっていくであろう本作、今のうちにご一読を！

(志木店 K)

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