おすすめ書籍

冷たい家

著者:J・P・ディレイニー

税込価格 :1,980円

ISBN:9784150019242

発売日:2017年10月5日

今週のおすすめ本

早いもので、もう12月です。
年末といえば大掃除ですね。いい機会とばかりに、断捨離を始めたり、ミニマリストの生活に憧れてみたりする人も多いようで、関連商品は年末の定番になっています。
今回のおすすめは、J・P・ディレイニー『冷たい家』。いまや世界的なライフスタイルである、ミニマリズムをとりあげたミステリー小説です。

ある建築家が建てた立方体の奇妙なデザイン住宅。
シンプルの極致のようなこの家に住むには厳格な審査をパスし、建築家の定めた奇妙なルールに従わなければならない。一切の無駄を排した完璧な家だが、居住者たちには、なぜか次々と災厄が訪れる。家に隠された秘密と、建築家の正体とは?というストーリーで、現在・過去にわたる2人の女性のドラマが交互に語られ、少しづつ謎の全容が縁取られていくのがとてもスリリングです。

家は時として、狂気や妄想を胚胎し、培養する装置として機能します。外部との回路が切断された空間では尚のこと、狂気はじっくりコトコトと煮詰められ、濃縮されていきます。以上、先日読んで面白かった春日武彦著『屋根裏に誰かいるんですよ。都市伝説の精神病理』の受け売りですが、それを考えると、例えば部屋中にアルミ箔を貼り付けたり、奇妙なビラを貼りまくった電波屋敷やゴミ屋敷と、本作に見るようなハードコアなミニマリズムは、両極端に思えて、実はコインの表裏のような気もしてきます。
一見すっきりした何もない空間には、目に見えない何かがぎっちぎちに詰め込まれているのかもしれません。

とはいえ、すっきり片付いた部屋や、不要なものは持たないライフスタイルはとても気持ちのいいものですよね。
ともに、年末の読書におすすめです。あわせてぜひどうぞ。

(志木店 スタッフ)

 

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