おすすめ書籍

11 eleven

著者:津原泰水

税込価格 :704円

ISBN:9784309412849

発売日:2014年4月5日

今週のおすすめ本

先日、作家の津原泰水さんが亡くなくなった。
新刊が楽しみな作家がまたひとりいなくなり、とても寂しい。追悼の意を込め、短編集『11』のPOPを作り、こう書いた。
「津原泰水のベスト、ではない。あまねくすべての短編小説集のベスト・オブ・ベストである」。
おおげさに聞こえるかもしれないが、誇張でもなければ、レトリックでもない。これは大マジで言っている。

本書には11の短編小説が収録されているが、そのどれもが、魔法的な技術で精緻に組み立てられた極小の箱庭を思わせ、それらを顕微鏡で観察しているような気にさせられる。
わたしは「延長コード」という作品の、読者を荒野に放り出すような置いてけぼり感がとりわけ好きだが、衆目の一致するところの白眉は、やはり「くだん」を扱った「五色の舟」だろうか。古くは内田百閒や小松左京など、くだんを扱った小説に名品は多いが、それらを継承しつつ、アップデートに成功している。

幻想的なイメージと奇想。すみずみまで注意深く行き届いた美意識。拡張された小説の可能性と、その全てを支える技巧。
すぐれた短編小説集はコース料理に例えられることが多いが、本書も、これらを堪能することができる、先鋭的かつ高密度な幻想小説のデギュスタシオンといっていい。
ぜひコチラを試し、著者の他の作品にも触れてみてほしい。

(志木店 スタッフ)

 

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