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Q&A

著者:恩田陸

税込価格 :660円

ISBN:9784344409361

発売日:2007年4月12日

秋の夜長におススメのミステリー

目の前に箱があり、両サイドに穴が開いている。
あなたはそこに手を入れ、中のものを触って、それが何かを当てなければならない。
さて、箱にはいったい何が入っているでしょう。

芸人さんとかがやっているのをテレビで見たことがありますが、実際に自分がやるとなると、すこしいやですよね。得体がしれないものに触れる怖さがあります。
今回紹介する本『Q&A』は、そういう気味の悪さにしびれる小説です。

郊外のモールで謎めいた事件がおこる。いくつかの断片的な情報だけが錯綜し、全容はつかめない。
物語は、そこに居合わせた人の証言をQ&A形式でつないでいき、「何が起こったか」を浮彫りにしていくという、『藪の中』スタイルで進行していきます。
いろいろな角度からの証言で、パズルのピースがあわさるように、事件の輪郭がおぼろげに縁取られていくようすがスリリングです。

一般的なミステリー小説では①謎が提示され、②しかるべき手立てを踏んで、③解明される。という流れがありますが、この小説では、事件の全容が明かされることはありません。謎は謎のまま、読み手はぽつんと放置されて小説は終わり、あとの解釈はそれぞれにゆだねられます。
あれは一体何だったんだ?という違和感。謎のかたまりのようなものが、深い余韻として、心の中にごろりと残ります。

冷たくて、柔らかい・・・小刻みに震えている。ところどころに毛が生えている・・・そしてこの匂いは・・・亀?
うわ、指に吸いついてきた。嚙んでる噛んでる!あの、もう手抜いてもいいすか?
そんなスリルを、家にいながら堪能できる作品。ちょっと変わったミステリーが読みたい人におすすめです。

尚、この種の小説をリドル・ストーリーといいます。アンソロジーがいくつも出ているので、興味のある方はぜひ。

(志木店 スタッフ)

 

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