小学３年生のさきちゃんとお母さんとの日常生活が、温かくユーモラスに描かれた短編集です。12のお話が入っています。
さきちゃんのお母さんは、お話をつくる仕事をしているので、さきちゃんは、出来立てほやほやのお話を寝る前に聞くことが出来ます。
「くまの名前」では、乱暴者のくまが新井家の一員となって、洗濯ばかりさせられているお話。さきちゃんはその晩は、あらいぐまになってしまった結末にくっくと笑って寝てしまったけれど、次の日の朝、名字の替わったくまが気にかかるさきちゃんに、お母さんは穏やかな結末を用意します。
「ふわふわの綿菓子」では、お父さんとの切ない思い出が。
「さばのみそ煮」では、タイトルにもなった　月の-砂漠を　さ-ばさばと　さ-ばの-みそ煮がゆ-きましたの歌が流れます。さきちゃんがさばのみそ煮をおおきくなって作る時、今日のこと思い出すかなというお母さん。生きていく上での喜び、楽しさ、切なさがぎっしり詰まった一冊です。おーなり由子さんの挿絵もとても素敵です。

(アトレヴィ大塚店　北川恭子)

各店の在庫確認はこちら>>