1995年に2回に分けて行われた村上春樹さんと臨床心理学者　河合隼雄さんの対談を１冊にまとめたのが本書です。この頃村上さんはアメリカから日本へ居を移し、ひとつの転機を迎えており、また「ねじまき鳥クロニクル　第3部」刊行直後の時期にあたります。臨床心理学の大家である河合隼雄氏に対して村上さんは様々な疑問を提起します。前半ではアメリカと日本との間にある「コミットメント」、「言語」、「個の確立」の差異、また後半部分では「こころ」の問題に焦点をあて日本人の暴力性にも言及しています。河合隼雄氏は村上さんの問いかけに対して、当初は簡潔かつ的確に応えていきますが、後半では自分のフィールドに関わることが多いためか、ご自分の経験をふまえて縦横無尽にお話を展開されています。対話形式の為読みやすく、短時間で読了可能ですが繰り返して読むことで両氏の思いや意図に改めて気づかされる事も多く、奥の深い対談集だと思います。

(新越谷店　スタッフ)

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