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献灯使
著者:多和田葉子
税込価格 :715円
ISBN:9784062937283
発売日:2017年8月
災害による鎖国状態に陥った日本。主人公の無名をはじめとする子どもたちは体力が極端になく、その曾祖父の義郎ら老人は、100歳を超えても健康そのもの。物も言葉も身体も理不尽に変容し、希望を失ったディストピアで無名に託された〈使命〉とは……。震災後文学の傑作とも評される表題作をはじめ、5篇が収録されています。どれも虚構が逆照射する人間の本質を巧みにとらえています。中でも個人的に推したいのは、言葉遊びによって文字の身体性を卓抜に表現した「韋駄天どこまでも」です。表題作と同じく震災後の世界が舞台で、実験的・前衛的な文体でありながら、非常時に芽生えた恋の顛末がするどく胸に迫ります。震災やパンデミックなど、様々な災禍を超えてどのように生きるかを考えさせられる作品です。多和田葉子にしか描けない世界文学の香りを、ぜひ体験してみてください!
(ららぽーと甲子園店 スタッフ)