2012年に本屋大賞を受賞し、その後映画化やアニメ化された作品。玄武書房に勤める主人公の馬締光也が新しく刊行する辞書『大渡海』の編纂メンバーとして辞書作りに打ち込む姿を描いています。誰しも手に取ったことのある辞書がどのように作られているのか。当たり前に存在して使っている言葉を、いざ誰にでも分かるように説明するとなるととても難しい。
言語学者の金田一秀穂氏の講演を聴いたときに印象に残っているのが、「右」あるいは「左」をどう説明するか、です。わざわざ説明するまでもないくらい当たり前に使っているこの言葉を説明するには一筋縄ではいきません。こうした作業をひとつひとつ積み上げていくと考えただけでも、辞書編纂は気の遠くなる作業です。
2024年2月には池田エライザさん、野田洋二郎さんが演じるテレビドラマが放送されるようです。このドラマでは池田エライザさん演じる若手編集者の視点で物語が進むそうです。原作と映像で、新しい年の始まりに言葉の海に浸ってみるのはいかがでしょうか。

(本部　正藤)

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